{
2012/10/24(水) }
ディスカス水槽では、赤虫、ディスカスハンバーグ、ディスカスフードなど、いろいろな餌を与える。それも水槽水量に対して、大量の餌を給餌している状態です。ディスカス飼育では、60cmワイド水槽でカージナルテトラを何百匹、何千匹分に値する餌を与えていることは普通にあることです。
水槽水量に対して給餌量が多いということは、その分排泄物である糞も比例して多いことになります。当然、アンモニア量も多いので、浄化するバクテリア量も多いので、バクテリアの死骸も多いことになります。ディスカス水槽の場合は、ゴミが多いのですが、これをどのように処理するかを整理して考えることが必要です。
ディスカス水槽には、十分なろ過能力を備えたフィルターの設置を推奨していますが、物理濾過と生物ろ過の役割を分割して、主に生物ろ過の能力を長期間維持できる設置が理想です。
テトラのP-Ⅰフィルターやエーハイムのプレフィルターを外部フィルターや上部式フィルターのストレーナーと交換する方法が多く用いられています。今回は、物理濾過として、最も能力の高いスポンジブロックを検証してみましょう。
スポンジブロックは、生物ろ過用のろ材として使われることもあるようですが、仕切り板のように水槽内に設置して、物理濾過を行なうのに適しています。スポンジには、水中で使用できる素材と水中で使用し続けると加水分解してしまう素材があります。国産でも水中で使用できるスポンジがありますが、スポンジとしての出来が良すぎるのか、柔軟性と弾力性があり、水槽内に突っ張って設置するには、ぐにゃぐにゃして設置しづらく高価でした。スポンジブロックは、ドイツではどこの熱帯魚店でも売っているほど定番商品で、いろいろなアイデアを用いて使われています。ろ過槽のろ材として使われたり、水槽内を仕切って、生物ろ過&物理濾過として使用されています。日本では、ディスカス愛好家が使用していますが、まだまだ馴染みは薄いようです。ドイツでは、日本の上部式フィルターのウールマット並の認知度かもしれません。
私がドイツで見たスポンジブロックの使い方をご覧ください。
(画像をクリックすると拡大されます)

魚とフィルターの吸い込み口(ストレーナー)をスポンジブロックで仕切って使用します。オーバーフロー水槽のオーバーフローパイプを仕切っても有効です。
設置は簡単で、カッターでカットして設置します。
設置方法は、下記ページをご参照ください。
http://www.aquashop-es.jp/free_9_48.html
今回は、スポンジブロックの働きについてお話します。
我々に最も近いところで「水」といえば、上下水があります。
水道局の処理方法をご覧ください。
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/pp/hakken/h06.html
下水処理方法です。
http://www.mizumirai.net/shorij/index.htm
どちらにも「沈殿池」というものがあります。
水道は下水ほど汚れた水を処理するのではありませんので、凝集剤でゴミをフロックにしてから沈殿させます。
下水は、人間の生活排水を処理するので、上水よりもゴミが多いので、微生物を使用して分解してから沈殿させます。どちらも最後に塩素で殺菌して、飲み水として使ったり、放流しています。
先の図をご覧ください。
No1の「餌」は、魚に与えた餌を示します。ほとんどの餌を食べ尽くしても細かくなった餌は、フィルター吸い込み口の方行へ水流によって移動します。糞も吸い込み口の方行へ移動します。
ノーマルのストレーナーだと水流に乗って移動した細かい餌や糞は、ストレーナーから吸い込まれてフィルター内に入ります。しかし、スポンジブロックがあれば、細かくなった餌はスポンジ表面にNo2のように止まります。細かくなった餌でもスポンジの表面に止まっていれば、その大半は魚が食べてくれるでしょう。餌としてのゴミは少なくなります。
No2の下に緑色の「糞」があります。これは、水槽内で排泄された魚の糞です。餌の残りカスも混ざっていることでしょう。これらは、定期的に飼育者が取り除くことが理想です。上下水処理だと沈砂池の役割です。後の処理に負担をかけないように、ある程度ここで処理します。
それでも細かくなった餌や糞は、スポンジブロック内に侵入します。図No3です。設置したばかりのスポンジブロックは微生物は着生していませんが、餌や糞、飼育水がスポンジブロック内に入ると微生物が発生してスポンジブロックに着生します。No2の餌や糞は、No3のスポンジブロック内で汚泥として分解されてます。分解された汚泥は、No4のように下に落ちてNo5の場所に溜まります。
No4のスポンジブロック内部は、下水処理の生物反応槽と同じ働きをしています。
そして、スポンジブロックで分解された汚泥が溜まる場所No05は、沈殿池と同じ働きをする沈殿槽となります。
汚泥は沈殿して、上層の水がフィルター内に吸い込まれて、さらに硝化バクテリアによって浄化されます。スポンジブロックでも硝化バクテリアによる浄化は行なわれていますが、大きなスポンジでもバクテリアが着生する表面積が少ないので、この処理はメインフィルターに任せます。
上下水処理では、最後に塩素処理を行ないますが、水槽環境でも最後に殺菌筒を使用して減菌することは、有効な手段で、より理想的な水槽環境となり、魚のストレスを軽減します。
スポンジブロックは、微生物をスポンジに着生させて分解、浄化を行ないます。分解された汚泥は沈殿するので、取り除くのは容易です。スポンジブロックによって沈殿槽が設けられましたが、無い場合は、これらの汚泥がフィルター内に入ってしまいますので、メンテナンス周期が短くなります。もし、スポンジブロックやストレーナー部をスポンジに変更しないで、ノーマルのストレーナーだった場合は、水槽内を浮遊する餌や糞が大量にフィルター内に侵入してしまい、アッという間に汚泥の溜まり場になってしまいます。
フィルターのメンテ周期が延びるということは、硝化バクテリアの良い働きが長く続くということです。メインフィルターが良い働きをしていれば、なるべく手を触れないことです。そうすれば良い状態が続きます。良い状態でも手を振れることで、バクテリアの生態系が崩れて、ろ過バランスも崩れます。
良い生物ろ過を長期間維持するためには、物理濾過は必要不可欠な方法です。
今回は、水槽環境を上下水処理場を用いて説明しましたが、「水槽のろ過=上下水処理」と思っては間違いです。水槽のろ過の一部=上下水処理は考えられます。水槽環境=地球、水槽環境=アマゾン河と考えるのが正しいと思います。
最近になって、大昔に流行った微生物を用いていると時々耳にしますが、下水処理の生物反応槽ではディスカスは生きられないことを考えてください。水中のバクテリアは、何処かに着生しようとします。魚の体表や鰓も着生場所です。熱帯魚の中でストレスを感じる能力が高いディスカスは、良いバクテリアも悪いバクテリアも水中を漂っているバクテリア全てをストレスとして感じます。白点病を始めほとんどの病気の大元の原因は「ストレス」です。ストレスがなければ病気にならないと言っても過言ではありません。水槽環境は地球と同じで、ディスカスを含めたいろいろな生物が共存する生態系から成り立っています。極端な話、バランスが整えば、必要な生物は必要な数だけ生息し続けることが出来ます。バクテリアなどの微生物は、必要であれば、自然と必要な数だけ発生します。お金はかからず無料で発生します。バクテリアなどの微生物を立ち上げ当初に用いることは有効ですが、過剰に投入することで、良かれと思って添加したバクテリアが魚のストレスになっていることもあります。尾腐れ、鰭腐れ病を引き起こす事もあります。新規に水槽を立ち上げる時だけ、適したバクテリアを適量使うことは良いことですが、長くて1か月程度です。私は、それ以降、使ったことはありませんし必要だと感じたこともありません。
水槽水量に対して給餌量が多いということは、その分排泄物である糞も比例して多いことになります。当然、アンモニア量も多いので、浄化するバクテリア量も多いので、バクテリアの死骸も多いことになります。ディスカス水槽の場合は、ゴミが多いのですが、これをどのように処理するかを整理して考えることが必要です。
ディスカス水槽には、十分なろ過能力を備えたフィルターの設置を推奨していますが、物理濾過と生物ろ過の役割を分割して、主に生物ろ過の能力を長期間維持できる設置が理想です。
テトラのP-Ⅰフィルターやエーハイムのプレフィルターを外部フィルターや上部式フィルターのストレーナーと交換する方法が多く用いられています。今回は、物理濾過として、最も能力の高いスポンジブロックを検証してみましょう。
スポンジブロックは、生物ろ過用のろ材として使われることもあるようですが、仕切り板のように水槽内に設置して、物理濾過を行なうのに適しています。スポンジには、水中で使用できる素材と水中で使用し続けると加水分解してしまう素材があります。国産でも水中で使用できるスポンジがありますが、スポンジとしての出来が良すぎるのか、柔軟性と弾力性があり、水槽内に突っ張って設置するには、ぐにゃぐにゃして設置しづらく高価でした。スポンジブロックは、ドイツではどこの熱帯魚店でも売っているほど定番商品で、いろいろなアイデアを用いて使われています。ろ過槽のろ材として使われたり、水槽内を仕切って、生物ろ過&物理濾過として使用されています。日本では、ディスカス愛好家が使用していますが、まだまだ馴染みは薄いようです。ドイツでは、日本の上部式フィルターのウールマット並の認知度かもしれません。
私がドイツで見たスポンジブロックの使い方をご覧ください。
(画像をクリックすると拡大されます)

魚とフィルターの吸い込み口(ストレーナー)をスポンジブロックで仕切って使用します。オーバーフロー水槽のオーバーフローパイプを仕切っても有効です。
設置は簡単で、カッターでカットして設置します。
設置方法は、下記ページをご参照ください。
http://www.aquashop-es.jp/free_9_48.html
今回は、スポンジブロックの働きについてお話します。
我々に最も近いところで「水」といえば、上下水があります。
水道局の処理方法をご覧ください。
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/pp/hakken/h06.html
下水処理方法です。
http://www.mizumirai.net/shorij/index.htm
どちらにも「沈殿池」というものがあります。
水道は下水ほど汚れた水を処理するのではありませんので、凝集剤でゴミをフロックにしてから沈殿させます。
下水は、人間の生活排水を処理するので、上水よりもゴミが多いので、微生物を使用して分解してから沈殿させます。どちらも最後に塩素で殺菌して、飲み水として使ったり、放流しています。
先の図をご覧ください。
No1の「餌」は、魚に与えた餌を示します。ほとんどの餌を食べ尽くしても細かくなった餌は、フィルター吸い込み口の方行へ水流によって移動します。糞も吸い込み口の方行へ移動します。
ノーマルのストレーナーだと水流に乗って移動した細かい餌や糞は、ストレーナーから吸い込まれてフィルター内に入ります。しかし、スポンジブロックがあれば、細かくなった餌はスポンジ表面にNo2のように止まります。細かくなった餌でもスポンジの表面に止まっていれば、その大半は魚が食べてくれるでしょう。餌としてのゴミは少なくなります。
No2の下に緑色の「糞」があります。これは、水槽内で排泄された魚の糞です。餌の残りカスも混ざっていることでしょう。これらは、定期的に飼育者が取り除くことが理想です。上下水処理だと沈砂池の役割です。後の処理に負担をかけないように、ある程度ここで処理します。
それでも細かくなった餌や糞は、スポンジブロック内に侵入します。図No3です。設置したばかりのスポンジブロックは微生物は着生していませんが、餌や糞、飼育水がスポンジブロック内に入ると微生物が発生してスポンジブロックに着生します。No2の餌や糞は、No3のスポンジブロック内で汚泥として分解されてます。分解された汚泥は、No4のように下に落ちてNo5の場所に溜まります。
No4のスポンジブロック内部は、下水処理の生物反応槽と同じ働きをしています。
そして、スポンジブロックで分解された汚泥が溜まる場所No05は、沈殿池と同じ働きをする沈殿槽となります。
汚泥は沈殿して、上層の水がフィルター内に吸い込まれて、さらに硝化バクテリアによって浄化されます。スポンジブロックでも硝化バクテリアによる浄化は行なわれていますが、大きなスポンジでもバクテリアが着生する表面積が少ないので、この処理はメインフィルターに任せます。
上下水処理では、最後に塩素処理を行ないますが、水槽環境でも最後に殺菌筒を使用して減菌することは、有効な手段で、より理想的な水槽環境となり、魚のストレスを軽減します。
スポンジブロックは、微生物をスポンジに着生させて分解、浄化を行ないます。分解された汚泥は沈殿するので、取り除くのは容易です。スポンジブロックによって沈殿槽が設けられましたが、無い場合は、これらの汚泥がフィルター内に入ってしまいますので、メンテナンス周期が短くなります。もし、スポンジブロックやストレーナー部をスポンジに変更しないで、ノーマルのストレーナーだった場合は、水槽内を浮遊する餌や糞が大量にフィルター内に侵入してしまい、アッという間に汚泥の溜まり場になってしまいます。
フィルターのメンテ周期が延びるということは、硝化バクテリアの良い働きが長く続くということです。メインフィルターが良い働きをしていれば、なるべく手を触れないことです。そうすれば良い状態が続きます。良い状態でも手を振れることで、バクテリアの生態系が崩れて、ろ過バランスも崩れます。
良い生物ろ過を長期間維持するためには、物理濾過は必要不可欠な方法です。
今回は、水槽環境を上下水処理場を用いて説明しましたが、「水槽のろ過=上下水処理」と思っては間違いです。水槽のろ過の一部=上下水処理は考えられます。水槽環境=地球、水槽環境=アマゾン河と考えるのが正しいと思います。
最近になって、大昔に流行った微生物を用いていると時々耳にしますが、下水処理の生物反応槽ではディスカスは生きられないことを考えてください。水中のバクテリアは、何処かに着生しようとします。魚の体表や鰓も着生場所です。熱帯魚の中でストレスを感じる能力が高いディスカスは、良いバクテリアも悪いバクテリアも水中を漂っているバクテリア全てをストレスとして感じます。白点病を始めほとんどの病気の大元の原因は「ストレス」です。ストレスがなければ病気にならないと言っても過言ではありません。水槽環境は地球と同じで、ディスカスを含めたいろいろな生物が共存する生態系から成り立っています。極端な話、バランスが整えば、必要な生物は必要な数だけ生息し続けることが出来ます。バクテリアなどの微生物は、必要であれば、自然と必要な数だけ発生します。お金はかからず無料で発生します。バクテリアなどの微生物を立ち上げ当初に用いることは有効ですが、過剰に投入することで、良かれと思って添加したバクテリアが魚のストレスになっていることもあります。尾腐れ、鰭腐れ病を引き起こす事もあります。新規に水槽を立ち上げる時だけ、適したバクテリアを適量使うことは良いことですが、長くて1か月程度です。私は、それ以降、使ったことはありませんし必要だと感じたこともありません。